二月二十七日
「眠い……」

「文芸部に遊びに来たかと思えば何でいきなり寝だすかなキミはっ」

「まぁいいじゃない小雪ちゃん。あ、寝るならこのクッションが枕にいいかも」

「さんきゅ。……む。イマイチ具合が悪いな」

「ワガママだなっ」

「何か他に無かったかしらね……」

「よし。早坂小雪。膝枕をしてくれたまえ」

「ひひひ膝枕!? 冗談じゃないよっ」

「じゃあ委員長頼む」

「喜んで」

「ええっ? ……い、委員長に任せるのも悪いからこの早坂小雪が特別に……」

「冗談だよ。……ぐー」

「人をバカにしてっ! ……って委員長こらっ! 無言で添い寝しようとしないっ」




三月六日
「ういっす」

「いらっしゃい」

「また寝にきたのかなっ」

「今日は漫画でも読ませてもらおうかと思って」

「キミもヒマ人だなっ。まぁ好きなだけゆっくりしていくといいよっ。お茶でも淹れようかっ」

「ありがとよ。ところで委員長」

「何かしら」

「何故に人体模型が文芸部室に?」

「今ちょっとデッサンの練習してて。人体模型を模写すればいい練習になるかなぁ、と」

「委員長ってばわざわざ先生の許可まで貰って借りてきたんだよっ」

「勝手に持ってくるわけにはいかないもの」

「はー……。ところでここは文芸部だよな」

「そうよ?」

「何故デッサンの練習をするのだ」

「いいじゃない。細かいことはどうでも」



(このオンナ、ダンナが来るまで怪しげなマンガ描いてましたぜ)

「……すまん、蛍光灯。出来れば気づかないフリを通したいので黙っててくれ」



「何か言った?」

「いや? まぁ確かに細かいことはでもいいよな。うん」




三月十一日
「今日は風が強いな」

「そうだねっ。……ってきゃあああっ!?」

「パンチラか。あはは」

「小雪ちゃんは健康的なの穿いてるわねー」

「そんな和やかな反応しないでよっ!」

「鼻血でも出すべきだったか?」

「または鼻の下伸ばすとか……きゃっ」

「……!」

「!?」

「あらやだ。そんな愕然とした顔しないでよ」

「委員長」

「委員長っ」

「なぁに?」

「「参りました……っ」」

「ふふっ」




三月十四日
「たまにはこうやって街中をただただ歩くのも悪くないのぅ」

「私はしょっちゅう外に出てるけどね」

「ウチもシャーペンみたいに携帯されたいのにゃあ」

「……何故お前らの散歩に付き合わねばならんのだ」

「まぁいいではないか。こうやって美人三人も引き連れて歩けているのだ。喜んで欲しいものだの」

「先生の口からそんな言葉が出るとは思わなかったよ。……つーか先生顔赤いぞ」

「うむ。もちろん冗談なんじゃが、言ってみると思ったより恥ずかしかったの」

「女性の姿してるからって別に女っぽくしなくていいんだから……」

「何かオカマにでもなったような気分だの……。ああ恥ずかしい恥ずかしい」

「でも先生も美人なんだからカワイコぶるのもアリだと思うのにゃあ。スカートとか穿いてみるのにゃ」

「あ、それ面白そう。髪型も変えてみたりとかー」

「そういうのはカンベンして欲しいのぉ……」




三月二十七日
「勝ったぁっ」

「……っ!」

(うわぁっ!)



「もう一度勝負よ。小雪ちゃん」

「いいよっ。何度でも勝負してあげようじゃないかっ」





「また勝ったっ!」

「……」

(ひゃああっ)



「……委員長、ゲームに負けたからってコントローラーを投げるなよ」

「ごめんなさい。身体が勝手に動いちゃうのよ……」

「ぜんぜん申し訳無さそうな顔してないのが委員長の怖いところだよっ」

(うー。携帯ゲーム機くんは液晶割られそうになってるからそれよりはマシなのかなぁ)









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