十二月十一日 「今日も冷えるなぁ……」 「そうだねっ。春が待ち遠しいよっ」 「そんなことより、手袋忘れたから手が冷たすぎる。たまらんぜ」 「ドジなヤツだねっ。片っぽ貸してあげようかっ」 「おお、それはありがたい」 「じゃあ右手のを貸してあげよーうっ」 「助かる。……とすると左手が寒いのが余計気になるな」 「この早坂小雪だって右手が寒くなったんだからガマンするっ」 「ふむ。……あ、言いこと思いついたぞ。ほれ」 「ななななっ!? なぜいきなり手を繋いでくるのかなっ!」 「早坂小雪の手、ぬくいな。こうすれば両手とも冷たくない」 「……そ、そうだねっ。良い考えかもっ」 「なんだよー。指絡めてくんなよー。やらしい握り方だなー」 「な、なにその言い草っ!?」 |
十二月二十二日 「ダンナダンナ。ちょいとお尋ねしたいことがあるのにゃあ」 「ていうかお前はホント無意味に化けるよな。……なんだ?」 「世の中にはクリスマスというものがあって、良い子にしてるとプレゼントが貰えると聞いたのにゃあ」 「あー……。何か欲しいものでもあるのか?」 「あるのにゃ」 「聞くだけ聞いておこうか」 「ウチが欲しいのはダンナのこだ……にゃ!?」 「まったく何言いかけたのかしらね、このコは」 「シャーペン。当て身なんかどこで覚えたんだよ」 |
十二月二十三日 「やっと今年の学校も終わったかぁ……」 「冬休みね」 「これはもう冬眠に入らざるをえない」 「ええー。これからクリスマスとか楽しいイベントあるじゃない。寝てばっかりじゃ勿体無いよ?」 「そうは言うがな委員長。こう寒いと引き篭もりたくなるものだぜ」 「私も寒いのは苦手だけど……そうだ。なら家の中でパーティでもしない?」 「忘年会?」 「その前にクリスマスにね」 「んーそうだなー」 「……私とじゃ、嫌かな?」 「いや、どうせならもっとメンバー集めようぜ。早坂小雪とか子猫とかシャーペンとか妖刀先生とか」 「小雪ちゃんはともかく……後半の意味がちょっとわからないんだけど……」 |
十二月三十日 (よく人型でぶらついてるけど、外で何してるの?) 「ん。この辺のボスとしてのお仕事に励んでるのにゃあ」 (……まさかその格好でマーキングしてるとか言わないでよね) 「保健所に連れ去られた仲間を救助して回ってるのにゃ」 (け、結構しっかりボスやってるんだ) 「にゃ。何が大変かって引き取りの手続きが大変なのにゃあ。文字覚えるのには苦労したにゃ」 (文字まで覚えたのね。……何だかちょっと見くびってたわ。ごめんね) 「にゃはは。もっと褒めてー」 (すごいすごい) 「あとこの姿でマーキングするのもテクがいるのにゃ。でも最近立ってする技を……」 (それは止めなさい!) |
十二月三十一日 「さて。そろそろ行くか……」 (こんな時間にどこ行くのよ) 「委員長や早坂小雪たちと初詣に行く約束をしててな」 (ふーん) 「正直寒い上に面倒なんだが、面倒ってだけの理由で断るのも難だからな。俺、がんばる」 (アンタも失礼な男よね……) 「まぁ言うな。じゃあ行こうか」 (……っと。私も持っていくわけ?) 「ん、行くだろ?」 (……行く) 「来年は穏やかな年になるといいなぁ」 (いやー。それは厳しいんじゃない?) |