十一月十五日 「おっ。委員長、編み物か」 「前から編んでたんだけどそろそろ完成なの。思ったより時間かかっちゃったわ」 「へぇー」 「良かったらマフラーでも編んであげようか?」 「マジか。それはありがたいなぁ」 「うふふ。じゃあ任せて。マフラーならすぐできるから」 「おー。すごいな」 (そんなの一言いってくれれば手袋でセーターでも何でも姿変えますのに) 「……毛糸球。気持ちは嬉しいが、あんまり無粋な真似をするわけにもいかんだろ」 「何か言った?」 「いや、何も。それよりマフラー楽しみにしてるぜー」 |
十一月二十一日 「英語の宿題は教科書の本文写しか……。めんどくさい……」 (そんなこと言ってるヒマがあったら手を動かしなさいよ) 「そうは言ってもな、シャーペン。もう手もだるいし……」 (だるいし、何よ) 「代わりにちゃちゃっとやってくれんかね」 (冗談じゃないわ。何で私が……) 「猫にしてやってるみたいに頭撫でてやるからさー。人型モードでもシャーペンモードでもどっちでも」 (……うー。……じ、自分でちゃんとやりなさい!) 「ちっ。やっぱり無理か。仕方ない、自分でやるか……」 (……) 「めんどうだー。くそー」 (……半分だけなら手伝ってもいいわよ?) 「マジか。ありがとう! シャーペンのそういうとこ好きだよ、俺は」 (……このスケコマシッ。いいから自分の分をさっさとやりなさい!) |