九月十六日

「最近、制服がきつくなってきちゃって……。仕立て直さないといけないかしら」

(ほら、よく見てよ。なかなかのサイズでしょ? 形も綺麗だし)


「この風紀委員の早坂小雪! 成長期でいろいろと成長してるのは羨ましいのっ」

(大きいければいいってもんじゃないの。それよりどう? このスレンダーな腰)


「えー。でも小雪ちゃんみたいな、すらっとした身体も羨ましいなぁ」

(でも胸ないじゃない。やーい、ヒンニュー)


「あなたみたいな身体の方が女らしくていいと思うわっ」

(なによ! このウシチチ!)




(ねぇ、肝心のあなたの好みを聞いてなかったわ)

(あなたはスレンダー派? グラマー派?)

(何ならちょっと脱いでみせる? 制服の私から言えば下着たちだって……)

(あ、いいわねソレ。風紀委員の制服の私も……)

「俺に話を振らんでくれ……! そしてそれは止めてくれ……!」




「ええ? 別に振ってないよ?」

「ていうかこの程度の話を必死に止めようとするなんて結構ウブだなっ」


九月十八日
「……」

(……)

「……」

(……)

「……」

(……らららー)

「いやキミが歌う必要はないぞ。ヘッドホン君」


九月二十日
(俺はここにいる! ここにいるんだー!)

「……」

(聞こえてるんだろ!? 返事してくれよ!)

「……」

(うぉぉぉ!)

「ヅラが自己主張しようとするんじゃないよ……! 大人しくしてろって……!」

「何をぶつぶつ言ってるのかな?」

「な、何でもないです校長」


九月二十一日
「うーん……」

「お弁当眺めながら何を悩んでるの?」

「いや、オカズにたらこが入ってんだよ」

「嫌いなの? たらこ」

「好き嫌い以前にだな……。ほれ、箸をのばすと」


(うわー。食べられるー)

(みんな逃げろー)

(ひゃー)


「た、たらこが木っ端微塵に!? 手品!?」

「逃げられんだよ。こいつらツブツブだしなぁ。……やっぱ俺はご飯系の弁当は無理だわ」


九月二十ニ日
「彫刻の真髄は素材の石や木なんかの声を訊くこと、らしいですが」


(ぎゃああ!?)

(痛い! イタタッ!? ちょっ! ギブギブ!)

(あ……ちょっと気持ちよくなってきたかも……)


「悲鳴しか聞こえないんですけど。先生。たまに変な声も聞こえたりはしますが」

「何を言っとるのかねキミは」


九月二十三日
(目標確認! 爆撃開始!)

(Yes,Sir!! ……投下します!)

「あ、あぶねー!?」

(外したぞ! 第二班配置につけ!)

(Sir! Yes,Sir!!)

「ハトどもぉ! 糞で戦争ゴッコとかしてくるんじゃねーっつーの!」









BACKTOPNEXT