五月二十日
「そろそろかな」

(ダメ!)

「厳しいなぁ。俺はちょっとくらい固めでも構わないんだけど」

(きちんと待って下さい! どうせ食べられるのならベストな状態で頂かれたいのです!)

「職務に熱心なカップラーメンだな……」

(あと42秒。そろそろお箸の準備をお願いします!)





五月二十日
――きぃぃぃぃん




「あっ。飛行機が飛んでるねっ」

「だな」

「今度の夏休みは飛行機乗ってどこか遠いトコに旅行行きたいよねっ」

「島とかいいよな」

「いいねっ」




――ツクモガタリ発見! すっげぇ珍しいもの見た! あとで友達に教えないと――




「山も捨てがたいけどな。俺の田舎にいいトコあるぞ」

「山もいいけど水着も着たいからやっぱり海かなっ?」




――あ、でも見えなくなったら俺の意識も無くなるか! もどかしいなチクショウ――




「……それにしても飛行機ってうるさいよな」

「気にするほどじゃないんじゃないかなっ。そんなに低く飛んでなかったしっ」



五月二十日
(ロ ー ド ロ ー ラ ーだッ!!)

「うん。工事大変だな、頑張れよ」

(……ロ ー ド ロ ー ラ ーだッ!!)

「見りゃわかるって」

(……うりぃぃぃ)

「もう行っていいか?」

(ツクモガタリさんノリわるーい)

「うるさいな。そういうネタは表立ってやる気にならんのだ」



五月二十日
(……ふぅ)

「何だ。悩ましげなため息なんか吐いて」

(自分でもわからない。何だろう、この気持ち……)

「どんな気持ちだよ」

(まるで胸にぽっかりと穴が空いたよう……)

「……ふざけてるだけだろ、ドーナッツ?」

(あ、バレた?)





五月二十日
(どうも。攻略本です)

「……疑わしいな」

(いやいや。ばっちり攻略しますって。マジマジ)

「本当かー? ただの分厚い説明書みたいなヤツだったりしないか?」

(ないですよ)

「途中までは攻略してるけど、『この続きは自分の目で確かめよう』とかなってないか?」

(よくタイトル見て下さいよ)

「解体新書って入ってるな。……よし、買おう」

(ありあとやんしたー)





五月二十日
(こないだは辻斬り退治ご苦労さまでした)

「俺は妖刀の先生に身体任せてただけだけどな」

(でもあの格好はどうかと思うんですよ。もっとソレっぽい格好しないと)

「話聞けよ」

(個人的には黒いロングコートに、自分みたいなサングラスかければイカすと思うんですよ)

「この季節にロングコートは暑いだろうが。しかも夜中にサングラスなんかかけたら前が見えないし」

(その辺は根性で何とかすればいいと思うんですよ。イメージ重視でいけばいいと思うんですよ)

「はいはい。今度また機会があればね」




五月二十一日
「もうすぐテストだねっ」

「嫌になるよな」

「もしモノと喋られたら、テスト用紙に答え教えてもらうんだけどなっ。エスパーになりたーいっ」

「あー。無理無理」

「無理なのは百も承知だよっ」

「ていうかテスト用紙らは基本的に解答知らないからな。聞くなら解答用紙に」

「あははっ。別にそんなこと真面目に考えなくてもっ」











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