(ここはこの方がいいかなぁ)

「おい…」

(うーん、ここはこんな風にー)

「なあ…」

(あ、ここはこんな感じの方が)

「おーい…」

(…なんですか? わたしは忙しいんですよ)

「別に喋るのはいいんだが…」

(なら何が文句あるんですか?)

「続きを変えるのはやめてくれ…」

(そんな!? だったらわたしに何をしろと!?」

「何もしないで欲しいんだが…」

(わたしに死ねと!? 退屈で喋るしか出来ない人生のままでいろと仰るのですか!?)

「いや、それは――もういい…好きにしてくれ」

(はい、好きにします。って事でここは――)

「はあ…どうして漫画の内容が途中で変わるんだろうか…」

(その方が面白いからです)

「はぁ…」

「さー、いけー!」

(アイアイサー!!)×100

「な、なんで鳥が!?」

(マスターのために! 大人しくお縄につけぇ!! この泥棒!!)×100

「ちっ! ピーチクパーチクうるせぇんだよ!!」

(ぐはぁ!)

(あ、兄貴!?)×99

(お…俺の屍を乗り越えていけ!)

(あにきぃぃぃぃ!!)×99+ひとりの人間

「う…うわやめ――」



「――ちゃんと全額揃ってるか? 早坂小雪よ」

「うん、全部揃ってる。ありがとう、財布取り返してくれて」

「いや、こんなもんお安いごようさ」

「でもどうしてこんな簡単に?」

「協力者がいたからな」

「協力者? それって誰? お礼言いたいんだけど…」

「ふ…もういないさ」

「いないって?」

「言葉どうりの意味さ…忘れないでくれよな、
その財布を取り戻せたのは、漢(おとこ)達がいたからって事を…な」

「へ? あ…うん、何だか分からないけど覚えとく」

(そうだな…そうしてくれれば俺の鳥生、悪くなかったと言えるぜ…)×数匹の幽霊になった漢(おとこ)達

「…きっと兄貴達も草葉の影で喜んでいるさ」








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