この街で評判のケーキ屋の前。

ヒロミとマコはサンタ服をミニスカートにアレンジした定番の格好で大声を張り上げていた。

「ケーキは如何ですかー」

花開くような笑顔で普段より二割増し程可愛らしい声を上げているヒロミ。

「ねぇヒロミ・・・」

その横でこの季節外れの露出に身を震わせているマコ。

「大変お買い得になっておりまーす」

ヒロミの声に道行く人々、主に男性がちらちらと視線を送っている。

集客効果が出つつあるようだ。

「充実したイブを過ごせるっていうから着いてきたのに・・・」

その横で自分の肩を抱いて震えながらヒロミに話し掛けるマコ。

「あ、そこのお父さん。お子様へのお土産にケーキは如何でしょうかー」

ふらふらと寄ってきた中年のサラリーマン風の中年にヒロミはさらに愛想を振り撒く。

マコの声は耳には入っていない様子。

「何でサンタのコスプレして売り子やってるわけ・・・?」

その横でどうやら騙されて着いて来たらしく、マコはひたすら不満気だ。

「はいっ、お買上ありがとうございまーすっ」

早速一つ売れて満面の笑みで中年を送り出すヒロミ。

歩合制なのでやる気は十分なのだ。

ちなみにマコを紹介したことによっても少し時給に色が着いている。マコには内緒だが。

「・・・はぁ」

その横で、マコはただただため息をつくばかり。

今夜はクリスマスイブ。

聖なる夜にして、稼ぎ時な夜であった。




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